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Web広告の成果が伸び悩む最大の原因は、「誰に届けるか」の解像度が低いことにあります。
「20代〜30代の女性」といった大雑把な設定だけでは、ユーザーの心には響きません。
そこで重要になるのが「セグメンテーション」です。
本記事では、CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)を劇的に改善するための「セグメンテーション(市場の細分化)」について解説します。
この記事でわかること
ポイント
- 基礎知識:「セグメンテーション」と「ターゲティング」の決定的な違い
- 実践手法:すぐに使える5つの切り口と、媒体別の設定ポイント
- 戦略思考:成果を最大化するための掛け合わせテクニック
セグメントをどう切ればいいかわからない」「設定項目が多くて迷う」という方は、ぜひ本記事を参考に配信設計を見直してみてください
マーケティングの基本フレームワークである「STP分析」において、セグメンテーションは最初のステップに位置します。よく混同される「ターゲティング」との違いを整理しましょう。
ポイント
- セグメンテーション:市場を「分ける」こと
顧客を特定の属性やニーズの塊(グループ)に細分化するプロセスです。
例)「市場を年齢別、居住地別、趣味別に分類する」- ターゲティング:標的を「絞る」こと
細分化したグループの中から、自社がアプローチすべき層を選定するプロセスです。
例)「分類した中から、都内在住の30代独身男性を狙う」
つまり、「正しく分け(セグメント)」なければ、「正しく狙う(ターゲット)」ことはできません。この精度が、広告の費用隊効果(ROAS)を左右します。
ここからは、Web広告運用で実際に使われる5つの代表的なセグメントと、具体的な設定イメージを解説します。
年齢、性別、職業、年収、家族構成など、客観的な事実に基づく基本的な部類です。
具体的なセグメント例
・子育て世代向け商品 →「30〜40代・既婚・子どもあり」
育児グッズや教育系商材に効果的

・高級サービス→「40代以上x年収1000万円以上」
不動産、富裕層向け旅行、会員制サービスなどに適用

・美容系 → 「20〜30代女性 × 都市部在住」
サブスク型美容サービス、化粧品、サプリメントなどに有効

ポイント
- マーケティングペルソナと整合性を持たせることが重要。
- 例えば「30代女性」とひとくくりにしても、「未婚で都内在住のキャリア志向」と「既婚・子持ちで郊外在住」ではニーズが全く異なる。
- 複数のセグメントを掛け合わせることで、精度の高いターゲティングが可能。
設定のヒント:
Google広告やMeta広告(Facebook/Instagram)では、管理画面の「オーディエンス」や「ユーザー属性」設定から、年齢・性別だけでなく「子供の有無」や「世帯収入(一部国/地域)」まで細かく指定可能です。
※ポイント:成果が出ない年齢層(例:18-24歳など)を「除外設定」することも立派な戦略です。
属性セグメントが利用可能な主な媒体
Google / Yahoo / X / Facebook / LINE / TVer / SmartNews / Gunosy
ユーザーの現在地や居住地、行動範囲に基づく地理的ターゲティングです。
地域密着型のビジネスや商圏が限定されるサービスに特に有効です。
活用例
・飲食店・美容院など → 「半径○km以内」「都道府県指定」

参照元:Googleマップより
・イベント開催
「開催地周辺に限定配信」+「開催1週間前〜当日」に絞った広告配信


参照元:Googleマップより
位置情報を活用したターゲティングはクリック率が高まりやすく、CVRも上昇する傾向があります。
ポイント
- 「商圏分析 × 配信地域のマッチング」が成果のカギ。
- 地域特性に応じて訴求内容を最適化すること(例:都心と地方での価格帯や求められるメリットは異なる)
設定のヒント:
Google広告の「地域設定」では、都道府県単位だけではなく「半径指定」が可能です。
※注意点:「その地域にいる人」と「その地域に関心がある人(旅行検討者など)」の設定項目が分かれているため、目的に応じて使い分けましょう。
ユーザーの価値観、ライフスタイル、趣味・嗜好といった心理的要因に基づくセグメントです。
SNS広告やYouTubeなど、感情に訴えるチャネルで効果を発揮します。
実例
- キャリア支援サービス:
└転職アプリ登録者、転職サイト閲覧者- 金融商材 :
└クレジットカードや資産形成に関心を持つユーザー- 健康食品 :
「サプリ」「ダイエット」など関連KWで検索しているユーザー
ポイント
- クリエイティブのトーンやストーリー性が非常に重要。
- 感情に響く要素を意識すること。
設定のヒント:
・Google広告
「アフィニティ カテゴリ(興味/関心)」から選択」
・Meta広告
「詳細ターゲット設定」で具体的な興味やフォローしているページジャンルを選択
心理セグメントが利用可能な主な媒体
Google / Yahoo / X / Facebook / LINE / TVer / SmartNews / Gunosy
ユーザーの過去の行動(サイト訪問・特定ページ閲覧など)に基づくターゲティング。
リターゲティングの基本的な手法です。
活用例
- サイト訪問者への再アプローチ(リマーケティング)
- 特定商品ページ閲覧者への限定オファー
- カート放棄ユーザーへの追跡広告
ポイント
- 最もCVRが高いセグメントであり、ROAS改善に直結。
- 過剰な配信を避けるため、フリークエンシーキャップを設定すること。
設定のヒント:
Google広告の「データセグメント」や「購買意向の強いオーディエンス」を活用します。
※ポイント:しつこくなりすぎないよう、フリークエンシーの(表示頻度)の上限設定を行うのが鉄則です。
「認知前」「比較検討中」「購入直前」といったカスタマージャーニーの段階ごとにユーザーを分ける戦略です。
ユーザーの思考段階に合わせて広告を出すことで、無駄な配信を減らし、転換率を最大化できます。
ステージ別ターゲティング例
- 認知層(知ってもらう) :
課題喚起、トレンド訴求、新しい気づきを与える
└ YouTubeやインフィード広告で接点を作る- 興味、関心層 :
比較情報、導入事例、レビュー
└ディスプレイやリスティングでLPへ誘導- 購入検討層 (迷っている→背中を押す):
価格訴求、即時オファー、安心感
└リマーケティング広告で後押し- リピーター層 :
感謝の気持ち、限定性
└アップセル/クロスセル広告

ポイント
- ファネルごとに最適なクリエイティブを用意することが必須。
- Google広告の「オーディエンスシグナル」やMeta広告の「カスタムオーディエンス」などを活用し、ユーザー状態を正しく分類する。
ただ細かく分ければ良いわけではありません。効果的なセグメンテーションにはコツがあります。
1.「4つのR」でチェックする
マーケティングの原則として、そのセグメントが有効かを確認しましょう。
ポイント
- Rank(優先順位):経営上の重要度は高いか?
- Realistic(規模):利益が出る十分な母数(市場規模)があるか?
- Reach(到達可能性):広告でアプローチできる手段があるか?
- Response(測定可能性):効果を測定できるか?
2.ペルソナと連動させる
データ上の数字だけでなく、「どんな生活をしている人か(ペルソナ)」まで具体化しましょう。
ポイント
- x悪い例:「30代男性、東京」
- ◎良い例:「30代男性、都内一人暮らし、週末はキャンプに行く、健康診断の結果を気にしている」
→ここまで想像することで、刺さる広告コピーが書けるようになります。
3.AIの自動化(P-MAXなど)とうまく付き合う
近年はGoogleの「P-MAX」や「AI-MAX」、Metaの「Advantage+」のように、AIが自動で最適なセグメントを見つけ出す機能が主流になりつつあります。
人間が細かく絞り過ぎるよりも、「ある程度AIに任せて、クリエイティブ(画像・動画)の質でターゲティングする」という考え方も最新のトレンドとして重要です。
[関連記事紹介]P-MAXとAdvantage+で成果を最大化する方法
Web広告の成果は「セグメント(誰に)」x「クリエイティブ(何を)」の掛け算で決まります。
どんなに素晴らしい商品でも、必要としていない人に広告を出しては意味がありません。まずは自社の顧客が「どのセグメントに属しているか」を仮説立てし、適切な媒体機能を使ってアプローチすることから始めましょう。
SEM Agencyでは、貴社の商材に合わせた最適なセグメンテーション設計から、実際の広告運用までをトータルでサポートしています。
「今のターゲティング設定が正しいか不安」「もっとCPAを下げたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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