トップ 「AI運用なら誰でも同じ」は間違い。広告代理店に求めている“3つの非AI領域”と成功事例

「AI運用なら誰でも同じ」は間違い。広告代理店に求めている“3つの非AI領域”と成功事例

Google広告のAI運用(P-MAX)で「CPAは合うが商談につながらない」とお悩みの方へ。

「AIなら誰でも同じ」は間違いです。
成果を分けるのは、AIに何を学習させるかという人間側の設計力。

本記事では、質の高いリード獲得に不可欠な「3つの非AI領域」と、失敗しない代理店選びの新基準を解説します。

はじめに

2026年現在、Google広告の運用風景は数年前から劇的に変化しました。
主力キャンペーンは完全に「P-MAX(パフォーマンス最大化)」や「デマンドジェネレーション」へと移行し、入札単価の調整から、ターゲティング、配信面の選定、そしてクリエイティブの組み合わせテストに至るまで、運用の大半がAIによって自動化されています。

この状況下で、「細かい設定はAIがやってくれるのだから、手数料を払って代理店に頼む必要はない」「どの代理店にお願いしても結果は同じではないか」と考えるインハウス担当者や経営層が増えていたとしても無理もありません。

しかし、現場の実態は真逆です。 同じAI機能を使っているにもかかわらず、「CPA(獲得単価)を維持しながら売上を伸ばし続ける企業」と「見かけの獲得効率は良いが、商談や売上に全くつながらない企業」の二極化が急速に進んでいるのです。

その決定的な差を生んでいるのは、管理画面上の設定ボタンではありません。 「AIに何を学習させるか(Data)」と「AIに何を読み込ませるか(Creative)」という、人間側の設計力です。


AI運用の落とし穴:「Garbage In, Garbage Out」の原則

AIは魔法の杖ではありません。あくまで「与えられたデータを元に、指定されたゴール(CV)を最大化する計算機」です。ここに、多くの運用現場で陥りがちな「部分最適の罠」があります。

AIは「楽な道」を選びたがる

例えば、BtoBのSaaS企業がP-MAXを導入し、コンバージョン地点を単に「資料請求サンクスページへの到達」に設定したとします。

AIは非常に優秀なので、Web上の膨大な行動データの中から、「最も低いコストでサンクスページに到達してくれるユーザー」を必死に探します。 その結果、AIが連れてくるのはどのようなユーザーでしょうか?

  • 競合他社の市場調査アカウント

  • 情報収集目的の学生

  • ポイントサイト経由の懸賞目的ユーザー

  • 「とりあえず資料だけ欲しい」という検討度の低い層

これらは全て「コンバージョン」としてカウントされます。AIからすれば「安く大量にCVを獲得せよ」という命令を忠実に実行したに過ぎません。

しかし、ビジネスの現場からすれば、これは「ゴミデータ(Garbage)」です。 「質の低い教師データ(Garbage In)」を与えれば、AIは「質の低い成果(Garbage Out)」しか出力しません。

AIには「このコンバージョンは売上につながらない」というビジネスの文脈(Context)を理解する能力がないからです。


【比較シミュレーション】「量」を追う運用 vs 「質」を追う運用

では、AI任せの運用と、人間が戦略的に介入した運用では、最終的な成果にどのような違いが生まれるのでしょうか。

月額予算300万円のBtoB企業をモデルケースとして、2つのパターンを比較シミュレーションしてみましょう。

パターンA:AI任せの「量」重視運用(失敗パターン)

多くの企業が無自覚に陥っているのがこのパターンです。

ポイント

  • 戦略:
    「CPA 10,000円以内」を至上命題とし、CV数の最大化を目指す。

  • AIの挙動:
    CVしやすい(=ハードルの低い)ユーザー層に配信を集中させる。

  • 結果:
    管理画面上のCPAは安く、月間300件のリードを獲得。
    しかし、インサイドセールス部門からは「電話がつながらない」「予算がない企業ばかりだ」と悲鳴が上がる。

パターンB:設計された「質」重視運用(成功パターン)

成果を出す代理店が目指すのはこちらです。

ポイント

  • 戦略::
    目先のCPA高騰を許容し、「有効商談」に近いユーザーを狙う。

  • AIの挙動:
    CVしにくいが、LTV(顧客生涯価値)が高い決裁者層や、検討度の高い層を探しに行く。

  • 結果:
    管理画面上のCPAは20,000円に上昇し、リード数は月間150件に半減。
    しかし、集まるリードの質が高いため、有効商談化率は25%に跳ね上がる。
    最終的な受注数はパターンAの2.5倍となり、ROAS(投資対効果)は最大化される。

経営層が評価すべきは、管理画面上のCPAではなく、この「最終的な事業貢献」です。
そして、パターンBを実現するためには、次に紹介する「3つの非AI領域」の設計が不可欠です。


成果を出す代理店だけが徹底する「3つの非AI領域」

運用代行の価値は、「入札調整」から「学習環境の整備」へとシフトしました。プロフェッショナルな代理店は、以下の3つの領域にリソースを集中させています。

ビジネスKPIに基づいた「バリューベース入札」の設計

成果を出す代理店は、全てのコンバージョンを「1」としてカウントしません。
クライアントのビジネスモデルを深く理解し、CRM(顧客管理システム)と連携して「コンバージョン値のルール」を設計します。

ポイント

  • ホワイトペーパーDL: 1点(興味関心層)

  • 料金表の閲覧: 10点(比較検討層)

  • デモのリクエスト: 100点(ホットリード)

このように重み付けを行い、AIに「100点のユーザーを探せ」と指示を出します。
これを「バリューベースの入札戦略」と呼びますが、この設計図を描きAIの学習方向をコントロールできるかどうかが、最初の分かれ道です。

1st Party Data(拡張コンバージョン)の実装技術

Cookie規制が完了した現在、Webサイト上の行動データ(Pixelベース)だけではAIの精度が維持できません。

そこで重要になるのが、企業が保有する「1st Party Data(顧客データ)」の活用です。
実際に成約に至った顧客のメールアドレスや電話番号をハッシュ化(暗号化)してGoogleに返す「拡張コンバージョン」や「オフラインコンバージョンインポート(OCI)」といった技術を実装します。

「技術的に難しいのでやっていません」という代理店も多いですが、この実装支援ができるパートナーと組まなければ、シグナル不足によりAIの学習は頭打ちになります。
「正解データ」をAIに戻してあげることで、AIはより精度の高い「類似ユーザー」を見つけ出せるようになるのです。

アセットグループごとの「クリエイティブPDCA」

AIは、用意された画像やテキストを組み合わせることは得意ですが、素材そのものを「企画」することはできません。

ポイント

  • 機能訴求グループ:スペック表や比較表を用いたロジカルなバナー

  • 情緒訴求グループ: 導入企業のインタビュー動画や、課題解決のストーリー

これらをターゲットのインサイト(悩み)に合わせて企画・制作し、「アセットグループ」ごとに意図を持って投入し続ける泥臭いPDCAこそが、CTRとCVRを改善する唯一の手段です。

AIによる判定(「低」「良」「最良」)をレポートで報告するだけでなく、「なぜ低評価なのか」の仮説を立て、次の素材を投入できる代理店が必要です。


失敗しないための「代理店への質問」リスト

もし現在、代理店への依頼やリプレイスを検討されているなら、定例会や提案の場で以下の質問を投げかけてみてください。
今のパートナーが「非AI領域」に対応できているか、その実力が見えてきます。

  • Q1. 「質の悪いCV」を除外する具体的な設計図はありますか?

    (単なる除外キーワードの話ではなく、オーディエンスシグナルの除外や、コンバージョンアクションの最適化について語れるかを確認)

  • Q2. オフラインコンバージョン(成約データ)の連携実績はありますか?

    (Web完結のCVだけでなく、CRMと連携した高度な学習設計の経験があるかを確認)

  • Q3. クリエイティブの改善提案は「数値報告」だけでなく「仮説」に基づいていますか?

    (「動画の評価が低いです」という報告だけでなく、「冒頭3秒で離脱しているので、次は結論から入る構成にしましょう」という提案があるかを確認)

まとめ:AIは「優秀なF1マシン」。ドライバーは誰にする?

Google広告の自動化機能は強力ですが、それは「最高速度が出るF1マシン」を手に入れたようなものです。
どんなにマシンが速くても、コース(戦略)を熟知したドライバーと、整備(データ設定)を行うメカニックがいなければ、レースには勝てません。

むしろ、スピードが出る分、壁に激突する(予算を浪費する)リスクも高いと言えます。

「P-MAXを入れたけれど成果が横ばいだ」
「AI運用のブラックボックス化が怖い」

そう感じている企業様は、自社のアカウント設定が「量重視」の罠にハマっていないか、一度見直してみることを強くおすすめします。


▼ 【復習】そもそも「P-MAX」の仕組み、正しく理解できていますか?

本記事では「代理店選び」や「AIへの指示出し」といった応用戦略について解説しましたが、AIを使いこなすには、P-MAX自体の**基礎知識(仕組みやメリット・デメリット)**を正しく把握しておくことが大前提です。

「代理店からの提案を正しく判断するために、基礎を固めておきたい」 「今の運用が、P-MAXの推奨設定から外れていないか確認したい」

そのように感じた方は、まずはP-MAXの基本を網羅したこちらの完全ガイドで、足元の知識を整理することをおすすめします。

[> 関連記事:【完全版】P-MAXキャンペーンとは?メリット・デメリットから設定方法まで徹底解説] https://sem-agency.co.jp/markelab/ad-media/pmax-beginner-guide/

脳汁くんのマーケ研究所編集部