トップ デザイナーに「綺麗」と頼むな。BtoB広告で勝つ「ダサい」けど「読める」画像とは

デザイナーに「綺麗」と頼むな。BtoB広告で勝つ「ダサい」けど「読める」画像とは

「綺麗な広告」は脳に無視されます。
BtoBで成果を出すのは、AIが何億回ものテストで最適解とした「素人感(Lo-Fi)」のある画像です。

デザイナー泣かせですが、MetaやTikTokも推奨する、スマホ時代に数字が確実に伸びる「泥臭い勝ちクリエイティブ」の法則を解説します。

はじめに

「ブランドイメージを大切にしたいので、洗練されたデザインでお願いします」 広告代理店の現場で、最も頻繁に聞かれ、そして最も成果を遠ざけている言葉の一つです。

誤解を恐れずに言えば、「綺麗な広告」は、現代のWeb上では「透明人間」と同じです。
ユーザーは無意識のうちに「広告っぽいもの」を視界から排除しています。
洗練されすぎたデザインは、風景に溶け込みすぎて誰の目にも止まりません。

今、成果を出しているのは、デザイナーが眉をひそめるような「極太ゴシック体の文字」や「スマホで撮った手ブレ動画」です。
今回は、なぜAIとユーザーは「ダサい」を選んだのか。

なぜAIは「素人感」を選んだのか? 集合知が示す残酷な現実

「素人っぽいクリエイティブの方が反応が良い」 これは一過性の流行ではありません。

実際に、TikTokは「Don’t Make Ads(広告を作るな)」という公式スローガンを掲げています。
また、Meta社(Facebook/Instagram)も広告パフォーマンスを最大化する戦略(Performance 5)において、スタジオ撮影のような完璧な素材だけでなく、スマホで撮ったような「Lo-Fi(ローファイ/粗い)素材」を取り入れることの有効性を公式に認めています。

つまり、世界的なプラットフォームのAIが何億回ものA/Bテストを繰り返した末に辿り着いた「集合知(最適解)」こそが「素人感」なのです。

その背景には、2つの心理学的理由があります。

脳のフィルタリング機能(バナー・ブラインドネス)

人間の脳には、情報を効率的に処理するために「広告らしきもの」を瞬時に無視する機能(バナー・ブラインドネス)が備わっています。

プロが整えた「美しいレイアウト」「完璧な余白」は、脳にとって「これは広告です」という明確なサインとなります。結果、中身を読まれる前に視界からカットされます。

フィードへの「同化(ネイティブ化)」

SNSのタイムラインは、友人のランチ写真や猫の動画など、基本的に「素人がスマホで撮ったコンテンツ」で溢れています。
そこに突然、スタジオで撮影された完璧な写真が現れると、それは「異物」として警戒されます。
逆に、少し画質が粗かったり、手作り感のある画像はフィードの文脈に同化し、ユーザーの警戒心を解くことができます。

「手抜き」が勝つのではありません。「リアリティ」が勝つのです。

脱・ブランドガイドライン。スマホで勝つ「視認性」の物理学

では、具体的にどのようなクリエイティブを作るべきか。
BtoB広告において最優先すべきは、芸術点ではなく「物理的な視認性」です。

「パワポ図解」が最強のフォーマット

お洒落なイメージ写真よりも、パワーポイントで作ったような「対比図」や「グラフ」の方がクリック率(CTR)が2倍以上になるケースが多々あります。
ユーザーは「雰囲気」ではなく「情報」を求めています。
「A社とB社の違い」や「導入後のコスト削減率」が一目でわかる図解は、それだけで有益なコンテンツとして認識されます。

スマホ基準の「フォントサイズ」黄金比

多くのデザイナーはPCの大画面で制作を行いますが、ユーザーが見ているのは手のひらサイズのスマホ画面です。
PCで「上品に見える余白」は、スマホでは「スカスカで文字が読めない」だけです。

ポイント

  • 文字サイズ:画面の横幅いっぱいに使うつもりで大きく。

  • フォント:明朝体などの細い文字は避け、太めのゴシック体を使用。

  • コントラスト: 淡い色使いは禁止。
    「白地に黒」「黄色に赤」など、視認性が最も高い配色を選ぶ。

社内のブランドガイドラインを厳守した結果、誰にも読まれない広告を作るのか。
ガイドラインを少し逸脱してでも、顧客に届く広告を作るのか。マーケターの覚悟が問われます。

動画は「冒頭2秒」に魂を売れ。起承転結の廃止

動画広告(YouTube、TikTok、Reels)においても、テレビCMのような「起承転結」は通用しません。
Web動画の視聴者は、親指一本でいつでも離脱できるからです。

「結」から始める

「お悩みではありませんか?」という導入は不要です。
冒頭の2秒で結論(ベネフィット)を見せてください。
「CPAを半減させる裏技」「3ヶ月で採用できた事例」など、ユーザーが得られる利益を最初に提示しない限り、3秒目以降は見られません。

「作り込み」よりも「素材の数」

1本の完璧な動画を100万円かけて作るよりも、スマホで撮影した簡易的な動画を10本(1本10万円)作るほうがAI時代の運用には適しています。

「社員がホワイトボードで解説している動画」や「実際の画面操作のキャプチャ動画」など、素材(アセット)のバリエーションを増やすことで、AIは最適なターゲットに最適な動画を出し分けることができます。

まとめ:デザインを「アート」から「エンジニアリング」へ

「ダサいクリエイティブ」を作ることに抵抗があるかもしれません。
しかし、それは「ダサい」のではなく「機能的」なのです。

ポイント

  • 脳のフィルターを回避する。

  • スマホの小さい画面でも情報を伝える。

  • 冒頭2秒でメリットを理解させる。

これらを追求した結果が、たまたま「素人っぽい見た目」になっただけのことです。
これからのクリエイティブ制作はデザイナーの感性に頼るアートではなく、人間の認知特性に基づいたエンジニアリングとして捉え直す必要があります。


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脳汁くんのマーケ研究所編集部