トップ P-MAX一強は終了?AI MAX・デマジェンとの特性比較と使い分け

P-MAX一強は終了?AI MAX・デマジェンとの特性比較と使い分け

Google広告のP-MAX、AI MAX、デマンドジェネレーション。それぞれのAIメニューは得意なファネルが異なります。

「CVを伸ばしたい」「リードの質を上げたい」など、自社の目的に合わせた正しい使い分けとフルファネル統合設計をプロが解説します。

はじめに:多様化するAIメニューと「目的別ポートフォリオ」の重要性

現在のGoogle広告運用において、機械学習を活用したキャンペーンの導入は標準的なアプローチとなりました。しかし、運用フェーズが進むにつれて「CV(コンバージョン)数をさらに伸ばしたい」「見込み顧客の質を改善したい」「新しい層にアプローチしたい」といった多様な課題が生まれます。

現在、Google広告の主軸となるAIメニューには「P-MAX」「AI MAX」「デマンドジェネレーション(以下、デマジェン)」の3つが存在します。これらを単に「AIが自動で最適化してくれる機能」として一括りに扱うと、各メニューの強みと自社の目的がミスマッチを起こし、成果の頭打ちを招きます。


3つのAIキャンペーンの特性と「得意な領域」

各メニューを適切に使い分けるためには、まずプラットフォーム側が「どの配信面で、どのようなシグナルを軸に最適化を行っているか」を正確に把握する必要があります。

メニュー別の目的・役割マトリクス

キャンペーン種別主な配信面学習の主軸(アルゴリズムの特性)最適な目的・ファネル
P-MAX検索、ディスプレイ、YouTube、Discover等すべて過去のCVデータとオーディエンスシグナル【獲得】
既存需要の効率的な刈り取り、CPA/ROASの最適化
AI MAXAI Overviews(AIO)面を含む次世代の検索・対話型枠複雑な検索意図(インテント)とアセットの動的生成【比較検討〜獲得】
長文クエリや対話型検索からの高精度なマッチング
デマジェンYouTube(ショート含む)、Discover、Gmail視覚的エンゲージメント、オーディエンス拡張(類似)【認知〜関心】
潜在需要の創出、新しいユーザー層の開拓

P-MAXの特性:コンバージョン見込みの高い層への「効率的なアプローチ」

P-MAXはGoogleの全在庫へ横断的に配信されますが、その本質は「最もコンバージョンに至る確率が高いユーザーを、面を問わずに探し出す(ボトムオブファネル特化)」ことにあります。

過去のコンバージョン履歴やリマーケティングリストといった強いシグナルを軸に学習するため、すでに顕在化している需要を効率よく獲得する目的に最も適しています。

一方で、「まだ自社を知らない層にニーズを喚起する」といったアッパーファネルの役割には構造上向いていません。

AI MAXの特性:複雑な検索意図の捕捉と「アセットの動的生成」

AI MAXは、AI Overviews(AIO)をはじめとする次世代の検索体験に強く最適化されたメニューです。

従来の単語検索ではなく、「〇〇と△△を比較して、BtoB向けの最適なツールを教えて」といった、ユーザーの長文・対話型の複雑な検索意図(インテント)を読み解くことに長けています。

ユーザーの文脈に合わせて、見出しや画像などのアセットをAIが動的に生成・組み合わせて提示するため、情報収集から比較検討フェーズにいるユーザーに対して、高度な関連性を持たせたアプローチを目的とする場合に有効です。

デマジェンの特性:視覚的フックによる「需要の創出」

ファネルの中間〜上部(ミドル〜トップオブファネル)を担うのがデマジェンです。
YouTube(特にショート動画)やDiscoverといった、ユーザーがコンテンツを視覚的に消費している面に特化しています。

このメニューの最大の強みは、自社の優良顧客データ(1st Party Data)を起点とした「類似オーディエンス(Lookalike)」の拡張です。
P-MAXやAI MAXでの獲得が安定し、新しい市場を開拓(需要の種まき)したいという目的に合致するキャンペーンです。


目的に合わせた実践的なメニュー選択とチューニング

メニューの特性を理解した上で、実際の運用現場で直面する「具体的な課題(目的)」に対して、どのメニューを選び、どう設定を調整すべきかを解説します。

目的:既存の獲得効率(CPA/ROAS)を維持しつつ、リードの質を高めたい

【最適なメニュー:P-MAX + 価値に基づく入札(VBB)】

すでに顕在化している需要を逃さず獲得しつつ、BtoB商材などで「リードの質(商談化率)」を改善したい場合は、P-MAXを主軸に置きます。

ただし、単なるCV数の最大化ではなく、CRM(Salesforceなど)から「商談化」や「受注」といった一段深いデータをGoogle広告に連携(オフラインコンバージョンのインポート)し、それぞれに価値(金額)を付与します。

これにより、P-MAXの強力な配信網を活かしながら、AIに「ビジネスにとって真に価値があるユーザー」を学習させることが可能です。

目的:検索行動の変化に対応し、比較検討層を確実に取り込みたい

【最適なメニュー:AI MAX + 詳細なアセット群の提供】

ユーザーの検索行動が「単語検索」から「AIへの質問(対話)」へ移行している中、自社の商材が比較検討の土俵から漏れるのを防ぎたい場合は、AI MAXを活用します。

AI MAXの成果を引き出すためには、AIがユーザーの質問に対して的確な回答を生成できるよう、テキストだけでなく多様な画像・訴求軸のアセットを豊富に提供することが重要です。

また、意図しない文脈での表示を防ぐため、ネガティブキーワードや除外設定を精緻に行う「監視」の役割が運用者に求められます。

目的:指名検索や既存の刈り取りが頭打ちになり、新規層を開拓したい

【最適なメニュー:デマジェン + 縦型動画クリエイティブ】

既存の検索・P-MAX経由の獲得が限界に達し、パイ自体を広げる必要がある場合は、デマジェンを導入します。

目的に合わせて、まずは既存の優良顧客に類似した「狭い範囲(2.5%)」の拡張からスモールスタートし、徐々に広げていくアプローチが推奨されます。

配信面が視覚的なフィードに集中するため、テキスト訴求ではなく、ユーザーのスクロールを止める縦型ショート動画や魅力的な画像カルーセルを用意することが成功の鍵となります。


フルファネルでの連携:3つのAIメニューの統合設計

各メニューは独立して動かすよりも、それぞれの目的を補完し合うように全体設計(ポートフォリオ)を組むことで、最大のインクリメンタリティ(純増効果)を発揮します。

役割分担に基づくエコシステムの構築

理想的な統合アーキテクチャは、以下のような循環サイクルを描きます。

ポイント

  • 需要の創出(デマジェン):
    動画や画像で潜在層にアプローチし、ブランドや課題に対する認知・関心を形成する。

  • 比較検討の捕捉(AI MAX):
    関心を持ったユーザーがAI検索等で複雑な質問、比較を行った際、最適なアセットで自社の優位性を提示する。

  • 最終的な刈り取り(P-MAX):
    購買意欲が最高潮に達したユーザーを、あらゆる配信面を網羅して確実にコンバージョンへ導く。

予算配分の考え方

すべてを同じCPA(獲得単価)の基準で評価すると、アッパーファネルを担うデマジェンの予算が縮小し、将来的なP-MAXの成果低下を招きます。事業フェーズによりますが、安定運用を目指す際の予算配分の目安は以下のようになります。

ポイント

  • P-MAX(刈り取り目的):50%〜60%

  • AI MAX(比較検討層の網羅目的):20%〜30%

  • デマジェン(需要創出目的):10%〜20%

各キャンペーンに「適切なKPI(P-MAXはCPA/ROAS、デマジェンはエンゲージメントやマイクロCVなど)」を設定し、全体最適を図ることが重要です。


まとめ:万能なメニューは存在しない。「目的にあった使い分け」が運用の鍵

現在のGoogle広告において、「このAIメニューを導入すればすべてのマーケティング課題が解決する」という万能な選択肢は存在しません。

重要なのは、自社の現在の課題(既存需要の刈り取り効率を上げるのか、新しい検索体験に対応するのか、潜在層を開拓するのか)を明確にし、その目的に最も適した特性を持つメニューを選択・構築することです。

AIが自動で入札や配信面を調整してくれる時代だからこそ、運用者に求められるのは「各メニューに正しい目的(役割)を与え、適切なデータ(アセットやCRMデータ)を渡し、全体を統合管理する能力」だと言えます。
自社のアカウントが目的に合った構成になっているか、今一度、役割分担の視点から見直してみてはいかがでしょうか。


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脳汁くんのマーケ研究所編集部