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本記事では、Google広告の拡張コンバージョンの基本概念と仕組みをわかりやすく解説します。
なぜ今導入が重要かの背景、期待できる効果やメリット、GTMやタグ設置を含む具体的な設定方法、導入後の効果検証・トラブル対応、プライバシー配慮のポイントまで初心者向けにステップで丁寧に案内します。
ウェブ広告やウェブマーケティングに携わる皆様であれば、近年の「Cookie規制」や「Cookieレス」という言葉を、きっと一度は耳にされていることでしょう。
個人情報保護の観点から、2017年頃より世界中でCookie規制に関する声が高まり、各国で法律による規制や同意取得の義務化が活発に進んでいます。
日本においても、2022年4月に改正個人情報保護法、2023年6月には改正電気通信事業法が施行され、またGoogleもChromeブラウザでのサードパーティーCookieの段階的廃止を宣言するなど、この規制の流れは今後も厳しくなると予想されています。
こうした規制が強まることで、WebマーケティングやWeb広告の分野では、今まで通りの正確な成果計測が困難になっています。
特にリスティング広告などのWeb広告では、従来の仕組みではコンバージョン(CV)に至ったユーザーが、実際に広告をクリックしたかどうかの判断ができなくなり、計測の漏れが生じてしまう可能性があります。
広告効果の測定ができなくなることへの懸念、そしてWeb広告の強みが失われるのではないかという不安は、広告運用者や広告媒体の中で大きな課題として認識されていました。
この課題を解決し、正確なコンバージョン計測を維持するために、Google広告からリリースされたのが「拡張コンバージョン」です。
ユーザーのファーストパーティーデータ(例:メールアドレスや電話番号)を安全にハッシュ化し、Googleアカウントと突合させることで、従来では計測できなかったコンバージョンも把握できる仕組みです。
「新しい技術なので仕組みが難しそう」「どのように設定したら良いか分からない」と感じる初心者の方もご安心ください。
本記事では、この拡張コンバージョンの基本概念と仕組み、そしてなぜ今この機能が必要なのかという背景について掘り下げ、さらに具体的な設定方法までを、分かりやすく丁寧に解説していきます。
仕組みは次の3ステップで構成されています。
1. コンバージョン(CV)が発生した際、広告主様のウェブサイトでユーザーから提供されたメールアドレスや電話番号などのデータ(ファーストパーティーデータ)を取得します。
このデータは、Googleへ送信される前に、必ずハッシュ化(不可逆的に別の値へ安全に変換)されます。
2. ハッシュ化されたデータは、HTTPSによって暗号化された安全な状態でGoogleに送信されます。
Googleはこのハッシュ化されたデータと、自社が持つGoogleアカウントの情報を照合します。
3. データが一致した場合にのみコンバージョンとして計測されます。
これにより、サードパーティーCookieが利用できない環境やデバイスを跨いだコンバージョンについても、より正確に広告成果を紐づけることが可能になります。
つまり、拡張CVの核となるのは、「広告主のファーストパーティーデータ」を「ハッシュ化」し、「Googleアカウント情報と照合」することで、Cookieに頼らずCVを測定する点です。これは、GoogleのAIによる自動入札やモデリングの精度向上にもつながります。
従来のコンバージョン計測では、サイトに設置したタグがCookieに記録されたクリックID(GCLID)を用いて、広告クリックと成果を紐づけていました。
しかし近年、Cookieの利用制限が進み、クリックID(GCLID)が送信できないケースでは計測漏れが発生するようになっています。
拡張コンバージョンでは、広告主が保有するファーストパーティデータ(例:メールアドレスや電話番号など)をGoogle側のユーザーデータと照合します。
これにより、Cookieに依存せず広告クリックとコンバージョンを正確に結びつけることが可能です。
つまり、従来計測で失われがちなデータを補完し、より正確な測定を実現する仕組みです。
拡張コンバージョンには2種類あり、その1つが「リードの拡張コンバージョン」で、Web上で完結しない成果(オフラインでの契約・来店・成約など)を計測可能にする機能です。
たとえば、「資料請求 → 後日電話で契約」「来店後に申込み」といったケースを計測できます。
| 項目 | リードの拡張コンバージョン | オフラインCVインポート |
| 概要 | 入力フォームにタグを設置し、後からメールアドレスとCVをアップロード | サイトでクリックID(gclid)を取得し、後からアップロード |
| キーデータ | メールアドレスなどのファーストパーティーデータ | クリックID (gclid) |
| クロス デバイスCV | 計測可能 | 計測不可 |
| エンゲージビューCV | 計測可能 | 計測不可 |
リードの拡張コンバージョンはファーストパーティーデータを用いるため、Cookieやデバイスに依存せず、より広範囲の成果を計測できます。
一方オフラインCVインポートは、クリックIDが取得できない環境では計測が難しくなる点が課題です。
背景にあるのは、Cookie規制の強化とプライバシー保護の潮流です。
| 年 | 動き |
| 2017年 | AppleがSafariにトラッキング防止機能(ITP)を導入 |
| 2018年 | EUでGDPR施行、Cookie利用に事前同意が必要に |
| 2022年 | 日本の改正個人情報保護法施行、Cookie提供に本人同意が必要 |
| 2023年 | 改正電気通信事業法施行、Cookie規制 |
| 2024年 | GoogleがChromeでサードパーティーCookie廃止予定(見直し発表あり) |
こうした世界的な動きにより、広告業界では「Cookieに頼らない計測」が必須となりました。
拡張コンバージョンは、ファーストパーティーデータを活用してこの課題を解決するために開発された仕組みです。
拡張コンバージョンでは、個人情報保護の観点から以下のような厳格な管理が行われます。
・送信前にSHA256によるハッシュ化を実施(不可逆的変換)
・通信はHTTPSによる暗号化で保護
・Google受信後も再度暗号化して保管
・Google社員・広告主ともに、ハッシュ化済みデータへのアクセスは不可
・照合に失敗したデータは一定期間後に自動削除
このように、拡張コンバージョンはプライバシー保護を前提とした仕組みになっています。
拡張コンバージョン(拡張CV)を設定する方法は複数ありますが、そのアプローチは「どのツールを使って」「誰がデータのハッシュ化を行うか」によって大きく分けられます。
ここでは、その設定方法を事前準備から含めて、要点を端的にまとめます。
拡張コンバージョンの導入には、ウェブサイトの改修が必要となり、サイト管理者との連携が不可欠です。
また、ファーストパーティーデータ(顧客データ)をGoogleに送信するため、法令上必要となる場合は、事前にユーザーの同意取得が必要です。
3つの設定方法のいずれを選ぶ場合でも、まずGoogle広告の管理画面上で拡張コンバージョンを有効にする必要があります。
拡張コンバージョンを設定するアプローチは、主に以下の3つのオプションがあり、サイトの構成やポリシーによって選択されます。
1. Google タグマネージャー(GTM)を使用する方法
2. Google タグをWebサイトに直接設置する方法
3. Google Ads APIを利用する方法
GTMを使用する方法は、マニュアル実装を含め、さらに3種類に分けられます。
| GTM 設定の種類 | 詳細 |
| コード | ハッシュ化された顧客データを送信するためのコードをウェブサイトに追加します。 |
| 手動設定 | 顧客データを含むCSSセレクタやJavaScript変数をページ上で手動で指定します。 |
| 自動収集 | ページ上のユーザー提供データをタグによって自動的に検出する方法です。 |
新規でGTMのタグを設定する場合、タグタイプとして「Google Ads User-provided Data Event」を選択し、コンバージョンIDの入力と、ユーザー提供データ変数(「Automatic collection」にチェックを入れる)を設定します。
また、トリガーは「フォームの送信」を選択する必要があります。
拡張コンバージョンはCookie規制が進行する現代において、デジタル広告の成果計測の精度を維持・向上させるために必須の機能です。
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外部リンク:
Google 公式ヘルプページ「拡張コンバージョンについて」
https://support.google.com/google-ads/answer/9888656?hl=ja
Google公式「拡張コンバージョン紹介ページ」
https://business.google.com/jp/privacy/products/enhanced-conversions/