トップ フルファネルSEMとは?「顕在層」だけ狙いの限界を突破するWeb集客の必須戦略

フルファネルSEMとは?「顕在層」だけ狙いの限界を突破するWeb集客の必須戦略

フルファネルSEMは一見難解ですが、要は「お客様の検討レベルに合わせてアプローチを変える」という非常に理にかなった手法です。

刈り取り型の運用に限界を感じている今、なぜこの戦略が必要なのか?
具体的にどう実践し、ラストクリック以外の指標でどう評価すればよいのか?

現場目線のノウハウをわかりやすく解説します。

はじめに

「リスティング広告を続けているけれど、最近成果が伸び悩んでいる…」
「獲得単価(CPA)が高騰してきて、利益が出にくくなった…」

Webマーケティングの現場で、このような壁にぶつかっていませんか?
もしそうなら、従来の戦術を見直すタイミングかもしれません。
今、多くの成果を出している企業が実践しているのが、「フルファネルSEM」という戦略です。


なぜ、今までの「刈り取り型」では勝てないのか?

これまでのリスティング広告(SEM)で主流だったのは、「顕在層」だけを狙い撃ちにする手法でした。

従来の「刈り取り型」の限界

例えば、あなたが英会話スクールを運営しているとします。これまでは、以下のような「入会意欲が高いキーワード」に予算を集中させていたはずです。

  • 英会話スクール 申し込み
  • マンツーマン 英会話 おすすめ
  • [地域名] 英会話 安い

確かにこれらは成約に近いですが、競合他社も全く同じキーワードを狙っています。

その結果、限られたパイを奪い合うことになり、クリック単価(CPC)は高騰し続け、獲得効率(CPA)は悪化の一途をたどります。

これは例えるなら、釣り人がひしめき合う釣り堀で、数少ない魚を取り合っているような状態です。

「フルファネルSEM」という解決策

そこで登場するのが、フルファネルSEMです。 ターゲットを「顕在層」だけに絞らず、その手前にいる「検討中の人」や「悩みを抱えている人」まで広げてアプローチします。

つまり、魚を取り合うのではなく、「まだ誰も狙っていない沖合に網を広げ、将来のお客様を自分たちで見つけ出す」戦略と言えます。


3つのファネルと具体的なアプローチ方法

フルファネルSEMでは、お客様の状態を3つの段階(ファネル)に分け、それぞれに最適なコミュニケーションを取ります。

アッパーファネル(認知・興味層)

「なんとなく課題を感じている」という段階です。
まだ具体的なサービスを探してはいませんが、悩みに対する解決策を知りたがっています。

  • 狙うキーワード例: 海外旅行 英語 通じない ビジネス英語 必要性

  • アプローチ: いきなり「入会しませんか?」と売り込んでも響きません。
    お役立ち記事やコラムを通じて
    「英語ができるとこんなに楽しいですよ」
    「キャリアアップになりますよ」
    と伝え、まずは自社を知ってもらう(認知を獲得する)ことが目的です。

ミドルファネル(比較・検討層)

「やることは決めたが、どれにするか迷っている」という段階です。

  • 狙うキーワード例: 英会話 おすすめ オンライン 通学 比較

  • アプローチ: 他社との違いやメリットを明確に伝えます。
    「なぜ当スクールが選ばれているのか」
    「他社よりどこが優れているか」
    を示し、比較検討の土俵で勝ち残ることを目指します。

ローワーファネル(購入・行動層)

「ほぼ買うと決めている」という段階です。従来のSEMが狙っていたのはここです。

  • 狙うキーワード例: [自社名] 申し込み [地域名] 英会話 キャンペーン

  • アプローチ: 最後のひと押しです。
    「今なら入会金無料」
    「無料体験実施中」
    といったオファーで背中を押し、確実に入会(コンバージョン)へと繋げます。

フルファネルSEMを導入する3つのメリット

導入することで、ビジネスこのような大きなメリットが3つ生まれます。

  1. 将来の顧客を「青田買い」できる:
    早い段階で接点を持つことで、「英語といえば〇〇スクール」という第一想起を獲得でき、比較されずに選ばれる確率が上がります。
    指名キーワード、ロングテールキーワードにおける独占状態を作れるとも言い換えられます。

  2. 広告費の高騰を抑えられる:
    クリック単価が安いアッパー層のキーワードを組み合わせることで、アカウント全体の獲得単価(CPA)を低く抑えることができます。

  3. 集客数の「頭打ち」を突破できる:
    これまでリーチできなかった層にアプローチできるため、獲得件数の天井を突き破り、ビジネスをさらに拡大させることが可能になります。

【運用の要】成功のカギは「評価指標」の見直しにあり

フルファネルSEMを実践する際、現場で最もつまずきやすいのが「広告の評価方法」です。
ここを間違えると、せっかくの戦略が台無しになってしまいます。

「ラストクリックCPA」だけで評価しない

アッパーファネル(認知目的)の広告は、「顕在層」ではないため、広告をクリックしてすぐにコンバージョンすることは稀です。

そのため、従来通りの「ラストクリックCPA(最後にクリックされた広告の獲得単価)」だけで評価すると、「この広告はCPAが高いから停止しよう」という誤った判断をしてしまいがちです。

サッカーの「アシスト」を評価する

これはサッカーに例えると分かりやすいでしょう。

ゴール(コンバージョン)を決めた選手だけを評価し、絶妙なパスを出した(認知させた)選手を「ゴールを決めていないから」という理由でクビにしたらどうなるでしょうか?

パスが回らなくなり、チーム全体でゴールが決まらなくなってしまいます。

フルファネルSEMでは、次のような指標を用いて、「アシスト効果」を正しく評価することが成功の絶対条件です。

  • ビュースルーコンバージョン:
    広告を見た人が、後日別の経路でコンバージョンした数

  • マイクロコンバージョン:
    「記事を読了した」「特定のページへ遷移した」など、購入手前の中間ゴール

  • ブランド指名検索数:
    自社名での検索数が増えているか

「CPAが悪化した」と焦る前に、まずは評価のモノサシ自体を、戦術に合わせて持ち替えることが重要です。


まとめ:SEMは「点」から「線」の戦略へ

フルファネルSEMとは、単にキーワードを広げることではありません。

「お客様が商品を欲しいと思うまでのストーリー(文脈)」に合わせて、適切なタイミングで適切なメッセージを届けることです。

「最近、獲得件数が伸びないな…」 そう感じたら、それは「刈り取り」の限界サインかもしれません。

ぜひ、一歩手前のファネルへ視野を広げてみてください。そこにはまだ、競合が見つけていない「未来のお客様」がたくさん待っています。

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