トップ AI時代におけるGoogle広告と検索行動の変化

AI時代におけるGoogle広告と検索行動の変化

検索行動は検索エンジンからSNS、そしてChatGPTなど生成AIへ進化。GoogleもAI導入で変化が加速中。本記事では、この新潮流に対応する最新Webマーケ施策を整理しました。

過去と現在の検索行動の変化

かつてユーザーは、主にサーチエンジンを通じて情報を探していました。しかしSNSが普及すると、検索行動は「サーチエンジンのみ」から「SNSと併用」へと進化しました。

現在では、サーチエンジンやSNSに加え、ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)や生成AIを活用するケースが増えています。ユーザーは目的に応じて最適な手段を選び、効率的に情報へアクセスできるようになったのです。

特にChatGPTの普及速度は驚異的です。ユーザー数1億人突破までに、LINEは19か月、TikTokは9か月かかりましたが、ChatGPTはわずか2か月で達成しました。

この流れはGoogle検索にも影響を与えています。生成AI「Gemini」は日本でも2024年8月15日から導入され、検索結果に「AI Overviews」として回答を提示するようになりました。これによりユーザーは複数サイトを訪問することなく、直接情報を得られるようになっています。


現在と未来の検索行動の変化

アメリカではすでに「Google AIモード」が導入されており、今後さらに世界的に拡大する見込みです。これにより従来の「検索結果からサイトへ訪問する行動」は減少し、AIが直接情報を提供する流れが主流になると予想されます。

本記事では、こうした検索行動の変化に対応するためのWebマーケティング施策を解説します。


Googleの収益構造を揺るがす検索広告への影響

AI Overviewsは、リスティング広告よりも上に表示されることがあり、その結果、一部の商材ではCTRやクリック数が減少しています。逆に、AI Overviewsがリスティング広告にプラスの効果を与えるケースはほぼ存在しません。

つまり、AI Overviewsは検索広告の成果を脅かす存在となり得ます。ただし、Googleの収益の半分以上が検索広告によるものとされており、Google自身が広告収益を守るための対策を講じることは確実でしょう。いずれにせよ、企業側も能動的に変化へ対応することが求められます。


今重要になるWebマーケティング対策① AIO

AIO(Artificial Intelligence Optimization)とは、AIが生成する検索結果に自社コンテンツを表示・上位表示させるための最適化手法です。

AI Overviewsを通じてユーザーが意思決定する前に、自社情報を取り込んでもらうことがポイントです。SEOと同様に「AIに選ばれやすい条件」を整えることで、競合に差をつけられます。

ここで「SEOは不要になるのか?」という疑問が生まれますが、結論は「SEOは依然として重要」です。AIOの成果を出すためにはSEOの基礎施策が含まれているため、既にSEOに注力している企業ほどAIO対応の効果を早期に得られます。


今重要になるWebマーケティング対策② LLMO

LLMO(Large Language Model Optimization)とは、ChatGPTなどの大規模言語モデルに自社コンテンツを参照・引用させるための施策です。

検索の入り口がLLMとなるユーザーを獲得する手法で、特に「ニッチ領域の情報」と相性が良い点が特徴です。対話形式で深掘りされる検索体験において、専門的で網羅的な情報を提供することで参照されやすくなります。

LLMの普及スピードは圧倒的に速いため、競合より先に知見を蓄積することが大きな優位性につながります。


未来の集客安定化のために考えるべきこと

AIOやLLMOはすでに多くの企業が取り組んでおり、成果を出しています。弊社でもLLMOを通じてお問い合わせをいただくケースが増えています。

しかし、これら2つの施策だけで将来の検索行動変化に十分対応できるとは限りません。なぜなら、AIによる情報提供だけでは意思決定に至らない商材も存在するからです。


人間の声が重要になる購買行動とその対策

AIによる推奨だけでは決断できない商材があります。それは「答えが一つに定まらない購買行動」を伴うものです。

例としては、証券会社の選定、住宅ローン、自動車、住宅などが挙げられます。これらは比較検討期間が長く、高単価であり、使用感や体験が重要です。

こうした商材では、AIが推奨してもユーザーは参考程度にとどめ、最終的には「人の声」や「実体験」を重視します。

そのため、AIOやLLMOに加えて、顧客と直接コミュニケーションを取り、信頼関係を築くコンテンツ施策が欠かせません。レビュー、体験談、コミュニティ施策など、人間的な要素を取り入れることが重要です。

また、コンテンツ制作の現場でもAI活用は進んでおり、調査や検証にAIを取り入れることで効率的に成果を出せます。将来を見据え、AIを積極的に取り入れつつ、顧客との接点を強化していくことが求められます。

H.E|プロジェクトマネージメント
新卒で広告代理店に入社し、現在はプロジェクトマネージャーとして広告施策の進行管理やチーム調整を担当。金融業界や生活サービス業界、美容業界など、幅広い分野の案件を経験。プロジェクトを支えてきた経験をベースに、広告の仕組みや工夫をわかりやすく解説している。