トップ ビジネスフレームワークとは?「使えない」を解決する3つのコツ

ビジネスフレームワークとは?「使えない」を解決する3つのコツ

本記事では、代表的なフレームワークを目的別に整理し、その特徴を紹介します。

さらに、実は多くの人がつまずきがちな「使えない・続かない」理由を洗い出し、 “活用のハードルを下げるコツ” を共有します。

最後に、すべてのフレームワークに共通する本質をまとめているので、ぜひ自社やチームの状況に応じた活用の参考にしてください。

はじめに:なぜ、学んだフレームワークは現場で使えないのか?

「MECEやPDCA、本で読んだ時は『なるほど!』と思ったのに、いざ現場で使おうとすると手が止まる」

「会議でフレームワークを使ってみたけれど、結局誰も発言せず、ただの穴埋め作業で終わってしまった」

皆さんは、こんな経験がないでしょうか?

ビジネスの現場において、フレームワークは「魔法の杖」ではありません。
あくまで思考を補助する「ツール(道具)」です。

使いこなせない最大の原因は、知識不足ではなく「使う目的(TPO)」と「自社へのチューニング」がズレていることにあります。


【目的別】代表的なビジネスフレームワーク図鑑

「何のために使うのか?」という目的を間違えると、どんなに優れたフレームワークも機能しません。まずは、自社の課題がどのフェーズにあるかを確認しましょう。

目の前の仕事を整理する(問題解決・業務改善)

「何が問題かわからない」「仕事が回らない」というカオスな状態を整理するのに適した基本ツールです。

フレーム
ワーク
現場での使いどころよくある失敗(注意点)
MECE
(ミーシー)
漏れなく・だぶりなく要素を分けて整理する完璧に分けようとして時間を浪費しがちです。ビジネスでは8割の精度で「まずは分ける」スピード感が重要です。
5W2H「誰が(Who)、いつ(When)、どこで(Where)」と問いで整理「Why(なぜやるのか)」が
抜け落ちがち。
ここが抜けると、部下は「作業」しかできなくなります。
PDCA計画(Plan)→実行(Do)→チェック(Check)→改善(Act)を回す「計画」に時間をかけすぎて「実行」まで辿り着かないのが最大の失敗パターン。
「計画」は仮説で十分です。
ECRS
(イクルス)
排除(Eliminate)/統合(Combine)/交換(Rearrange)/単純化(Simplify)で業務を見直すいきなり「簡素化(楽にする)」から考えがちですが、
まずは「排除(やめる)」から考えるのが鉄則です。

また、「マンダラート」「4象限マトリクス」など、アイデア整理や優先順位付けにも使える万能型のフレームワークもよく活用されます。

チームと組織を動かす(マネジメント・組織開発)

「人が育たない」「組織が硬直している」といった、人間関係や構造の課題にメスを入れるための枠組みです。

  • 7Sフレームワーク:組織を「ハードの3S(戦略、組織、システム)」と「ソフトの4S(スキル、人材、価値観、スタイル)」に分けて分析します。

    よくある事例→「ハード(制度や組織図)」だけ変えて、「ソフト(現場の意識や文化)」を無視するから失敗します。

    この7Sを見れば、「あ、うちは『価値観』の共有が抜けていたな」と気づくことができます。
  • 意思決定の3モデル(トップダウン/ボトムアップ/ミドルアップダウン):
    誰が決定権を持つかを定義

    よくある事例→「うちはボトムアップで行くぞ!」と宣言したのに、現場からの提案を上司がことごとく却下していませんか?

これらは、組織全体の構造や文化、人の関わり方まで含めて「どう運営するか」を設計する際に役立ちます。

もともとマネジメント分野で使われてきた枠組みですが、今では多くの企業が「変化の激しい環境への対応」「人材活用」「生産性向上」のために導入しています。

未来を描き、目標を決める(計画・戦略)

案件の「目標を決める」「道筋を描く」ための思考法

ポイント

  • 逆算思考(バックキャスティング):
    「3年後にこうなっていたい」という理想の未来(ゴール)を先に決め、そこから「じゃあ今は何をすべきか」を引き算で導き出します。

    ポイント:
    積み上げ思考(現状の延長線)では達成できない、高い目標を掲げる時にこそ威力を試みる

  • OKR/KPI:
    組織の目標と個人のアクションをリンクさせる指標管理

    ポイント:
    数字(KPI)だけでなく、その先にある「ワクワクする目標(O)」がセットになっていないと、ただのノルマ管理になり疲弊します

これらは、「何を達成すべきか」「いつまでに」「どのように進めるか」を構造化するのに役立ちます。


多くの現場で「フレームワークが定着しない」本当の理由

かっこいいフレームワークを導入しても、9割の現場では定着しません。
その理由は、このような「現場のリアル」を無視しているからです。

1.「目的」ではなく「埋めること」がゴールになっている
「3C分析の表を埋めて」と指示された瞬間、思考停止して「空欄を埋める作業」が始まります。これでは何の洞察も生まれません。

2.現場の言葉とかけ離れている
「Shared Value(共通価値観)を見直そう」と言われても、現場のスタッフはピンときません。
「うちのチームが大切にする『合言葉』を決めよう」と翻訳する必要があります。

3.結果につながらず、モチベーションが続かない:
→分析はしても、改善が進まない/組織に変化が起きない


「使えない」を「使える」に変える3つの実践テクニック

「小さな問い」に変換する 

フレームワークの専門用語はそのまま使わないでください。現場の言葉に翻訳(カスタマイズ)しましょう。

✕「SWOT分析をしよう」

○「『勝ちパターン』と『負けパターン』って何だと思う? ちょっと書き出してみよう」

型にはめるのではなく、型を自分たちの会話に溶け込ませるということです。

「とりあえず1回」で終わらせず、ハードルを極限まで下げる

いきなり全社プロジェクトで導入しないでください。
まずは「週1回の定例ミーティングの最後の5分」だけ使ってみます。

・タスク出しの時に「これ、ECRSで『やめる(排除)』選択肢はない?」と一言だけ聞いてみる。

・KPT(Keep/Problem/Try)を、付箋3枚だけでやる。

業務の流れにあわせて自分たちが使いやすい形に

目的期待成果を明確にセットする

フレームワークを使う前に、「何のために使うか」「どんな状態になったら成功か」を決める。

・単に「効率化したい」ではなく、「月末業務を 30% 削減したい」「社内会議の時間を週 2 時間減らしたい」といった具体目標を設定

「こういうときにはこのフレームワークを使う」という感覚が身に付きながら、フレームワークで迷走することはなくなります。


まとめ:フレームワークは「思考の補助線」である

最後に、すべてのフレームワークに共通する本質をお伝えします。 それは、「ごちゃごちゃした現実にあえて『補助線』を引き、見えなかった答えに気づくこと」です。

MECEもPDCAも、それ自体が正解を教えてくれるわけではありません。しかし、補助線を引くことで「あ、ここが抜けていた」「こっちに進めばいいのか」という気づきを与えてくれます。

  • 目的をはっきりさせる。
  • 現場の言葉に翻訳する。
  • 小さく始めて、手応えを作る。

という 使い方の思想 を持つことです。

今回紹介したビジネスフレームワークはどれも “思考の型” を与えてくれる強力なツール。

まずは小さなテーマで構わないので、一度でも使ってみて、自分たちの仕事や組織にフィットするか、試してみるとよいでしょう。

参考資料:
https://go.chatwork.com/ja/column/efficient/efficient-836

https://www.hrbrain.jp/media/human-resources-management/organizational-management-basic

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